ESQUISSE

詩らしきもの

風のリズム

         

           〜コンテ〜

 

     不連続な歩道の石畳で

     タイヤは回る

     空の陽気は

     パンパン跳ねながら

 

     一直線に伸びる

     車道に入り

     トルクを一段上げ

     走る

     滑らかに

 

     風が耳元で囁く

 

     (もっと早く)

 

     笑いながら

 

     平らな路面を

     ペダルをぐんぐん廻して

     顔をくすぐる

     風を追いかける

 

     (ここまで来い)

 

     風は言った

 

     脚力を全開にして

     追う 追う 追う

 

     今度は

     追われる 追われる

 

     追う 追う 追う

 

     追われる 追われる

 

     どこまでも

     やり取りするリズム

     何時しか風と手を繋いだ

 

     輝きの街路樹の

     アーチの中を

     私達はあっという間に

     点になってゆく

  

          右隅にfine