ESQUISSE

詩らしきもの

回想

       

       いちょう並木を歩いた

       日差し豊か

       僕を包(くる)み

       あたたかさが祝福した

 

       茜空に黄金(こがね)に染まり

       スペクトルに変わる様を

       丸く銀杏(ぎんなん)が跳ね

       黄葉(こうよう)の舞い散る様を

 

            *

 

       月が冷たい矢を

       背に放つ夜

       月影の

       くすんだ枯れ葉に

       踏み砕かれた果実に

       物悲しい時は永らく

       儚い願い

       寂寥(せきりょう)の夜に灯す


       彼方の天に溢(こぼ)れる星の雫(しずく)は

       琢磨の途(みち)

       心の倫(みち)


       あのいちょう並木は

       僕の歩いた道